KEEPING OF FRESHNESS

鮮度保持

鮮度保持に最適な氷、シルクアイス

昔は質より量、今は量より質

農林水産省の調査によると、消費者が鮮魚を購入する際に注意する点として「鮮度」という回答が圧倒的に多く、魚介類の品質として「鮮度」が最も重要であるという認識を消費者が持つ時代です。
漁業者の方々もその認識は年々高まっており、どうすれば獲れたてのイキの良い魚を流通できるかを模索しています。

魚のプロに聞いた「おいしい魚の条件」とは

一に時期と漁場、二に手当の仕方。
魚を扱う漁師さんや市場関係者が口をそろえてこう言います。 どんな高級魚も季節外れに実力は発揮できない。船にあげるまで長い時間暴れさせたり、温度管理が悪かったりすると台無しになる。
「旬を逃さずうまく扱えば食べる人を感動させる。」

死後硬直をいかに遅らせるか、がカギ

魚介類は高水分で脆弱な組織を持ち、青果物や畜産よりも鮮度低下が速いものです。当たり前ですが鮮度低下したものは、元には戻りません。
上の図で示したように鮮度保持するには魚の暴れ防止と低温保管が必要不可欠と言われています。「死後硬直」の状態(死んだ後に体がピンと張った状態)をすぎると鮮度が落ちるので、死後硬直を遅らせることが鮮度保持では重要です。魚が暴れると、体内のATP(アデノシン三リン酸筋肉を動かすときのエネルギー源)が消費されるとともに、乳酸などの疲労物質が蓄積し劣化させるのです。そうならないために「活け締め」(一般的に活魚を麻痺させて素早く脳死状態とした後にさらに血抜きをし、鮮度を保つ方法)という処理方法が用いられていますが、これは1匹ずつの処理のため大量に処理ができないという弱点があります。では鮮度を維持させるために、他にどんな方法があるのでしょうか?

シルクアイスなら、獲れたての鮮度で

魚の「暴れ防止」と「低温保存」が
同時にできるシルクアイス

当社の「海氷[KAIHYO]」でつくるシルクアイスとは、海氷を冷却したマイナス温度で海水と同じ塩分のシャーベット状の流動性のある氷です。
氷の粒子は数ミクロン〜数十ミクロンの細かさで、滑らかな手触りです。
魚体を隙間なく包み込み、すばやく冷却します。そのため、魚が暴れて体内に血がまわる、乳酸が発生するということもなく、魚体を傷つけることもありません。またシルクアイスはマイナス温度を長く保てます。
鮮度保持に必要不可欠な「暴れ防止」と「低温保管」の2つを同時にできる氷なのです。

これがシルクアイスの実力!

シルクアイスの温度は-2〜3℃。
カレイは中に入れた直後はやや動いていましたが、短時間で全く動かなくなり手で持ち上げる事もできました。※注1
これは凍結しているのではなく、硬直しているからなのです。
このように冷蔵と冷凍の間の温度帯のシルクアイスでは、暴れることなく魚が死んで、そのままの温度で保存もでき、鮮度が保たれるという「活け締め」と同じような効果を生む、優れた方法なのです。
※注1:全ての魚がこのように持ちあがるわけではありません。

シルクアイスといっても色々な硬さの氷があります。氷濃度が高くなる(氷が固くなる)と氷の温度が低くなり、それぞれ用途によって使い分けます。連続式シルクアイスシステム「海氷」は、0℃の冷海水からシルクアイスまで製氷できます。

連続式シルクアイスシステム「海氷」をみる

循環式シルクアイスシステム「海氷」をみる

氷の粒子が非常に細かいため、脱水しづらいシルクアイスを専用機で脱水した、サラサラで雪のような氷です。発砲ケースに魚と一緒に詰め、発送時に使用。

脱水氷製造機をみる

シルクアイスの冷却効果

現在は真水から生成された「砕氷」や砕氷と海水を混ぜた「海水氷」が主流です。しかし砕氷は0℃以下にはならない、魚体全体を冷やすことができない(隙間があく)、魚体に傷がつくなどのデメリットがあります。
シルクアイスは、マイナス温度の粒子が極めて細かいシャーベット状の氷です。冷却速度が非常に早くマイナス温度を長く保つ、魚を包み込み傷つけることなく、素早く冷却できるのです。


従来方法との使用比較

シルクアイスと真水砕氷で保存した鮭とサンマを比較した結果です。

シルクアイスで処理すると
ATP含量は高く、乳酸含量は低い

魚が暴れたり時間がかかることで蓄積される乳酸がpH値を低下させ、また筋肉中のグリコーゲンやATPを消費して鮮度低下をまねきます。

シルクアイスで処理=活け締め状態

台湾へのサンマ輸送テスト

道東で漁獲したサンマを船上で沖詰め品を試作。
従来方法(海水+真水砕氷)とシルクアイスでそれぞれサンマを漬け込み発泡容器に詰め、航空便で台湾に輸送しました。到着後、台湾海洋大学でサンマを検証。
「こんな鮮度の良いサンマは見たことがない」と現地でも驚きの声が上がるほどで、シルクアイスの鮮度保持効果が実証されました。

水揚げ直後のサンマをシルクアイスで
処理すると鮮度が保たれる

シルクアイスで保管したサンマは
体表の青色が保持される

従来方法は塩分濃度が低くなるため青色が消失します


シルクアイス使用事例

シルクアイス×サンマ色鮮やかでピンと立つ

こんなきれいなサンマ見た事ありますか?
これはシルクアイスで沖詰めしたサンマです。普段よく見かけるサンマと並べてみると、その違いは一目瞭然ですね。

まるで海で泳いでいる姿そのもののようです。焼いて食べると身の締まりが全然違う、内臓も苦くなく甘みがある。サンマってこんなに美味しかったんだと実感しますよ。もちろん鮮度が良いのでお刺身でも。現在、ブランドものとして販売されており品薄の状態が続いているそうです。

台湾でサンマの刺身!?…。
これは台湾にシルクアイスを使ったサンマを輸送し鮮度保持効果の実証試験を行った際の出来事でした。
現地台北の日本料理店の料理長さんも驚きの声をあげる程、サンマの鮮度は保たれていたのです。
台湾の方には初めてのサンマ刺身に「美味しい!」。焼きサンマも身の締まりが今まで食べたものと全然違う、内臓も苦みはなく甘く感じるなど、新鮮なサンマでしか味わえない美味しさを堪能されました。

シルクアイス×アキアジまさに高級魚の如き味わい

身色は鮮やかな、まさにサーモンピンク。生臭みもなく、日持ちすると評判の秋鮭(アキアジ)。日頃見慣れている秋味とはまったく別物のような色と食感は、希少鮭にも負けないほど…。漁獲時に厳選した3キロ以上の銀毛オスを、自動活締め機に投入し、シルクアイスを入れた魚艙で泳がせながら脱血した鮭です。鮮やかな色の身はルイベで食べられるのはもちろん、白子も刺身で食べることができるのは驚きです。

シルクアイス×マグロ

「身が締まっていて包丁が入りやすい。捌く時間がずいぶんと短くなった。」
これは漁獲地で本マグロをさばいている職人さんの言葉。
赤みを刺身でいただいたが、色艶もきれいでコクのある甘みと酸味もあり、マグロのおいしさがわかるのは赤みだと言われているのも納得です。マグロは体温が高い魚で、きちんと活締めをして魚体を速やかに冷やさないと、自分の体温で身が「ヤケ」をおこしして白っぽくなり、価値が半減するそうです。シルクアイスを使用すると、これまでの冷却時間の1/5程度で済み「ヤケ」もおこりにくいとの事。漁獲したマグロを安心して出荷できる漁師さん、そのマグロをおいしくいただける消費者。どちらにとっても良いことですね。

シルクアイス×真鱈初めての食感づくし

プリプリとしてクリーミー。これまで食べた事のあるタチ(白子)とは全く別物と言って良いほど食感が違っていた…。近海で釣った真鱈をシルクアイスで保存、2日目のタチを食べた感想です。

身も鮮やかな白色で、刺身で食べるとコリコリとして甘みを感じます。真鱈という魚はこんなにも美味しかったのか、と改めて思うほどの味。そのタラの肝で出汁をとった三平汁もコクのある贅沢な味でした。よく漁師さんが獲った魚をそので捌いて食べるのが一番ウマいという話を聞きますが、このタラはまさしく船上で食べているであろう、そんな味わいでした。

シルクアイス×レストラン見た目も美味しい逸品

北海道で新規オープンした和食レストランでは、連続式シルクアイスシステム海氷を導入されました。
厳選した北海道の旬の素材で使われる魚介類は、新鮮さにこだわりシルクアイスで保存、また盛り付けにもシルクアイスのアイスベッドでお客様に提供されます。
料理長の「新鮮なものを新鮮なままで」というこだわりと、手間を惜しまない徹底した姿勢で、極上の逸品を生み出しています。